親の役割 #8 いつもあなたの味方//
人間形成において、幼児期がとても大きく影響することは、
いろいろな場面で認識されている。
私の場合、20代~50代まで、様々な方々とお会いしていると、
少し、何か心の闇を感じる方は、必ず自分から幼児期の頃のお話やご両親のお話を始める。
もしかしたら、幼児期の環境のせいにしたい、という気持ちから、かもしれないし。
数十年経った今でも、心を捉えて離さない ”何か” から解放されたいのかもしれない。
ペアレンティング(親業)や教育精神が重要だと考えられている理由である。
息子は、小学生の頃、『student council (スチューデントカウンシル)』という生徒会員だった。
デモクラシー(民主主義)のアメリカらしく、学年で子供たちが投票して選ぶ方法で選出するので、選ばれた子は、その皆の期待と責任に応えるべく、様々なサポートをする。
一概に、典型的な優等生、が選ばれるわけではない。
正義感、リーダーシップがあり、人のことを考えられる、明るく、楽しく、強い子が適しているのだと思う。
その当時、彼の任務の関係で、様々な生徒達の様子を近くで見る機会が多く、私自身いろいろと考えさせられた時期でもあった。
家が近く、仲が良かった同級生のP君は、お父様が米国大企業の役員でエリート家庭のご子息。
ご両親とも教育熱心で、移動の車の中でも数学の問題を口頭で出しながら時間を過ごすほど(!)P君は、いつもご両親の教えに従い、“自慢の息子” 。。
のはずだった。。
ある日、この彼が、実は学校で様々な問題を起こしていることが発覚した。
友人への暴力、癇癪、罵倒、カンニング。。などなど。。
学校側はご両親へ連絡するが、ご両親は「うちの子に限って」という対応。
当然である。
ご両親と一緒にいる彼は、本当に完璧な息子で、”いい子“ で、
そんな素行は、想像すらできない。
こういったケースの場合、まずご両親に事実を把握していただかないと改善されないので、時間がかかり厄介である。
彼は、ご両親の前で、”いい子“ を演じていただけだった。
ご両親を愛し、嫌われたくなかった、褒めてもらいたかった、自慢の息子でいたかった。
けれど、彼は心の中で苦しんでいて、どこかでバランスを取る必要が出てきたのかもしれない。
もちろん、我が家の息子も、男の子なので、その上、好奇心が人一倍大きい子だったので、それはそれは、いろいろあった。
何度、学校に謝りに行ったことか。。
幸せなことに、彼のいたずらは、悪気の無いトラディショナルな悪戯だったり、何らか彼なりの理由があったり、人を傷つけることは一つも無かったので、学校に呼び出されても先生と笑ってお話をして、『しょーがないですね~』という感じだったのだが。。
それでも、私は、家でそれなりに説教し、戒め、息子と向かい合い、彼の言い分に耳を傾けた。
面倒臭いと思わずに、この話し合いは、親にとっても重要。
事の真相、子供の考えを理解すると、意外と冷静に納得したり、腹が立つこともなく、後処理を考えるにもスムーズになる。
そして、その時に、いつも彼に繰り返し言っていたこと:
『正直に話してね。正直に話してくれないと、マミーはあなたの味方でいられない。本当のことを知らないと、あなたを助けられない。守れないから』と。
もともと、嘘が下手な息子だが、彼は、学校で叱られたり、授業中笑い過ぎて教室から出され廊下に立たされた時も、集団でいたずらをしてお説教をされた時も。。。etc.
毎回、玄関に入るなり、
『マミー。。ごめんね。今日ね。。』と話してくれていた。
時々は、ママネットワーク、先生ママネットワークがしっかりしていたので、彼の帰宅前に私はすべて知っていたりしたのだが、息子は『ホウ・レン・ソウ』をきちんと実行してくれた。
子供が正直でいてくれると、親は、子供側の状況を把握しながらすべてを考えることができる。
失敗を正したり、子供の心を癒してあげたり、一緒に問題に対処できる。
どんな時でも、親は、子供の味方でいるべきである、と思う。
そのために、子供が正直にどんなことでも話せるように、
親は、決して感情的に叱らず、大人の事情や体裁などは気にせず、
子供の言い分に耳を傾ける
最初から現在までの子供の心の動きを探る
起きてしまったことから、教えるべきことを見つける
もし、まだ子供が話したくない場合は、
無理強いをしないで、先ほどの『正直に話してくれたら全力で味方する』と告げて、
話せる時がきたら話してね、と待つことも大切。
成長過程で、おそらく、大人がびっくりするような事件は、たびたび起こる。
子供たちに、知っておいて欲しいのは、
親を信じて、正直に委ねてくれたら、
いつだって味方でいるし、
全力で守るからね。
ということ。
私たち、親が忘れてはならないのは、
ありのままの子供たちを愛するだけ。
正直な自分を愛された子は
自信を失うことのない、優しく強い大人になってくれる。
RIKA