親のバランス感覚*叱り方//
子育てにおける教育方針には、大きく分けて「放任主義」と「干渉主義」がある。
「放任主義」だけを続けると、自堕落な性向が強い人間になってしまい、また親からの愛情にも疑問を持ってしまう危険がある。
「干渉主義」だけを続けると、自主性の無い、自分の存在価値さえも確認できないような、弱い人間になってしまうケースがある。
極端にどちらかだけでは、居心地のよい環境は作れず、子供の未来を応援するような親業とは言えない。
そう、私たちは、親業でも絶妙なバランス感覚を持っていないといけない。
放任主義VS干渉主義、
叱り方VS褒め方
甘くVS厳しく
いろいろなバランスを手探りで探していく。
私がアメリカで学んだケーススタディを取り上げ、グローバルペアレンティングにおいて、そんな話も少しづつ書いて行くことにする。
私がアメリカの保育園で、最初に学んだことは、叱り方。
叱り方はきっと、褒めるよりも難しく、大切なんだと思う。
今の教育の傾向としては、親も教師も「子供をうまく叱る」という能力が低下している。
叱れない親が増えている、と聞く。
子供に気を遣う。嫌われたくない。。。
同時に、モンスターペアレントも多いという。
以前、(Blog on June 25)ブログ で、スプーンやフォークを口の位置に持って行く事さえも、一生懸命な子供たちの成長過程についても書いたが、
失敗や間違ったことをするのは、当たり前。
だって、まだ、この世界に生まれて数年なのだから。
それを、修正し、正しいことを理解させるのが、私たち大人の仕事で、
『失敗は成功の元』
failure teaches success; 失敗は成功を教える
failure is a stepping-stone to success; 失敗は成功への踏み石、飛び石
という諺のとおり、
失敗は、学ぶための絶好のチャンス!と考えてみて欲しい。
アメリカの保育園。
様々な人種の0歳児から6歳までの子供たちが、早朝から夕方まで同じ空間で過ごす。
本当に毎日いろいろな事が起こる。
笑って、学んで、ケンカして、仲直りして、泣いて、怒って。。
例えば、子供が何か悪い事をした時、興奮して泣いたり、わめいたり暴れたりしている子供には
〔Time out〕(タイムアウト)という罰があり、
日本でいうと、いわゆる、“廊下に立ってなさい”という罰。
年齢や状況から、このタイムアウトの時間は3分~10分等ときちんと設定されていて、
子供はタイムアウトの場所、柱、椅子などのある決められたコーナーへ移され、ただ黙ってそこにいなさい、と言われてしまう。
タイムアウト中の子供は、一人で、反省したり、気持ちを落ち着かせたりするかもしれないし、
みんなの仲間に入れない、一人でいなくちゃいけないので。。きっと寂しい。。と思う。
恥ずかしい、という気持ちも持つかもしれない。
原始的な荒療治、なのかもしれないが、泣きわめいて叫んで暴れている子供も、タイムアウトを続けるうちに、泣き止んで落ち着く、つまり『頭を冷やして反省』していることになる。
タイムアウトの時間が終わると、先生が歩み寄り、お話をする。
なぜ、タイムアウトになったのか。。と始まる。そして
「私はあなたをとても愛している。でもね、今あなたのしたことは嫌いなの」という叱り方をする。
人格と行為を別々に捉えることで、子供の人格を否定することにならない。
行いが間違っている、ということの理由も一緒に考える。
そして、二度と同じことが起きないように、という導き方をする。
もちろん、次の同じ状況でそれがクリアできていたら、思い切り褒める。
ここまでが、
『叱る』ということの一つのワーク。
最初に、私が感じたことは、“なんて丁寧に叱るんだろう” ということだった。
子供たちと本を読んだり、絵を描いたり、歌を歌ったり。。そんなことよりも、もしかしたら、叱ることを、一番丁寧にしているのではないか、と思ってしまったほどである。
教師は、かなりのエネルギーを使って叱っている。
怒っていない。
理解をさせている。
まだ、小さくて言葉が理解できないかも?ぐらいの年齢から、同じ叱り方を続けているのだと思う。
共同生活の中で、何歳であろうと、子供たちは子供たちの社会を作り、ルールを学び、良い事を悪い事を覚えていく。
大人が愛情をもって、叱って、教えてくれる。
今日間違えた事は、きっと明日は間違えない。
だから、明日が楽しい、と子供は思う。
あと、ひとつ、これは守って欲しいルール。
誰かが叱ってくれたら、それで十分。
同じ事で他の人は決して叱らないこと。
つまり、保育園、幼稚園、学校で先生や大人が一度叱ってくれたら、それを家でまた親がグチグチ叱らないこと。
パパが叱ってくれたら、ママは叱る必要はない。
おばあちゃんやおじいちゃんが叱ってくれたら、パパやママは叱らなくていい。
一度で子供は理解しているし、叱ってくれた人の説明でインプットされている理論を混乱させると逆効果。
愛情いっぱいの叱り方ができるように、
大人もバランス感覚を育てていかないと。。
RIKA